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“脱皮”へ雌伏の年 紙面から選ぶ2024年観光番付(2) 日本固有の文化を世界発信

温泉文化を世界へ 万博に期待も

 東の大関は7月にユネスコの世界文化遺産に登録された佐渡島の金山としたい。文化遺産と自然遺産あわせて日本では26件目になる。佐渡観光の活性化につながればと期待したいね。

 世界遺産で言えば今月、日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録された。国内では日本酒の消費量が減少傾向だが、海外では人気が高まっている。アニメの聖地巡礼がインバウンドにウケているように、日本酒や焼酎、泡盛の酒蔵が観光面でより注目され、酒はもちろん発酵食の文化が地方創生のけん引役になれば。

 無形文化遺産登録を目指した取り組みは宿泊業界でも本格化している。全旅連を中心に日本の「温泉文化」を発信、ONSENを世界語にしようと意気込む。

 確かに、療養が主目的の海外とは異なり、開湯伝説などのストーリーにはじまり地域性豊かな入浴方法、多種多様な浴槽、温泉入浴に適した食など、日本人にとって温泉は文化そのもの。

 温泉旅館の客室には必ず饅頭や甘味が置いているけど、あれは入浴前後に糖分を摂ることで発汗などによる低血糖になるのを防ぎ、湯あたりしないようにという“おもてなし”の温泉文化だよ。余談だけど。

 弊紙が深く関わっている「わかやま12湯」の活動の一環で、登録実現に向けた署名活動を行った。和歌山県旅館組合が中心になってわずか2カ月で1万5千筆も集めた。うちも来社したお客さんにお願いして1500筆以上、書名してもらった。

 全旅連が事務局を務める「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産推進協議会では25年中に100万筆の署名を集め、28年の正式登録を目指している。

 10月に開いたわかやま12湯サミットには全旅連の井上喜博会長が出席し、和歌山県旅館組合の利光伸彦理事長から1万5千筆の署名を渡した。ぜひ、国民運動として広がってほしい。

和歌山県旅館組合

「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産推進協議会の井上副会長(左)
に、1万5千筆の署名を手渡す和歌山県旅館組合の利光理事長

 西の大関は、開幕まで100日に迫った大阪・関西万博で。会期中、2820万人が来場し、そのうち海外からの来場者は350万人と想定されている。イマイチ盛り上がりに欠けていると言えなくはないけど、日本全体をパビリオンに見立て大阪から地方へ人流が起きることを期待したいね。

 先日、万博会場に行ってきたんだよね。

 5月に行った時は大屋根リングの内側が空き地だらけで間に合うのかな?と思ったけど、先月行った時はずいぶんと工事が進捗し、海外パビリオンの特異な外観も確認できた。博覧会協会では、工事は間に合うと言い切っていたし、あとはあまり評判のよろしくない入場チケットの登録や会場輸送がスムーズにいくことを願う。

 貸切バスの不足に拍車がかかるのではと不安視する業界関係者も多いしね。大阪府下の公立学校では、万博会場へ遠足に行くことになっているんだけど、学校の先生がバスが確保できないと頭を抱えていた。

(トラベルニュースat 2024年12月10日号)

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