四字熟語で2025年の観光を占う(2) 微人博命・円満久足
「滞」在を促す「勢」いで
【微人博命】 大阪・関西万博が4月13日に開幕する。10月13日まで184日間の会期中、約2820万人の来場者数(うち海外来場者数約350万人)が見込まれ、観光業界にとって今年最大のトピックであることは間違いないだろう。
「博」を選んだ橋爪さんも「2025年は大阪が世界的に注目されることは間違いない」。その上で、国や観光業界が期待しているのは万博プラス地域観光として広域への波及効果だ。その点について橋爪さんは「観光行動の総量に変化がなければ、大阪への旅行者は増えても、他を訪問する人が相対的に減じる懸念がある」とし、その対応策として「連泊を促し、広域周遊の魅力を訴求し、総じて観光消費額を高めていくことが求められる」と指摘する。
「命」を選んだ井門さんは「万博のテーマ『いのち輝く未来社会のデザイン』が言葉遊びで終わらないよう格差解消、未婚化の歯止め、子ども世代への資金還流に向けた政策を期待する」とし、特に「観光は、若い命で地方が輝いてこそ持続可能なるという命題を忘れずにいたい」。
見た目が際立つ万博の効果を薄命とせず「そのレガシーを生かすべく」(橋爪さん)、年々微(わず)かになっていく若い人が光を放つ次代へつなげたい。
【円満久足】 十分に満ち足りて不足がないことを意味する円満具足。「満」を選んだ吉兼さんは「災害から始まり、終わりの見えない戦争や政変など腑に落ちないことや不可解な事件が多かった」とし、観光の世界でも「インバウンド客は戻ってきたが、オーバーツーリズム対策は不十分なままで、円安によってアウトバウンドは復調しきれていない」と2024年を振り返る。
地震や豪雨など災害は毎年必ずどこかで見舞われ、海外旅行の大衆化も失われて久しい。だからこそ、今年は平穏であり「観光を通して人々が満たされる年になってほしい」。
(トラベルニュースat 2025年1月1日号)
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