観光庁が発足 訪日外客2千万人を目標に(3)
観光庁の設置で、諸外国との観光交渉の一元化、国内の地域にとっては政府部門の観光の窓口一本化が実現する。ただし、観光行政の幅は広く、多くの省庁で独自に観光関連事業が行われている現実に変わりはなく、今後は観光立国実現に向け、この分野での調整役や牽引役として真価が問われることになる。
国内4泊実現へ挑む 真価問われる観光庁
こうした政府内での役割を果たしながら、観光庁が具体的に取り組もうとしているのが(1)魅力ある観光地づくり支援(2)観光産業の国際競争力の強化(3)外国人観光客の拡大(4)休暇制度の改善など観光旅行促進のための観光整備―などで、なかでも観光立国推進基本計画の数値目標の達成が当面の課題になる。
推進基本計画が5大目標として掲げているのは▽訪日外国人旅行者1000万人▽日本人の海外旅行者2000万人▽30兆円の国内旅行消費▽国民の国内観光宿泊4泊▽国際会議等の開催件数5割増―の5つで、国際会議を除き2010年を達成年度に置いている。
就任会見で5つの目標について質問された本保長官は、国内旅行消費額はほかの4つの結果としながら「訪日外客については、新たに2020年に2000万人という目標に踏み出し、国際会議に関しても順調に推移しています」と現状を報告。一方、観光宿泊4泊と海外旅行者拡大については、「大いに力を入れる必要があります」と厳しい見方を示し、海外旅行については、量中心から質中心への転換に言及していた。
国内旅行拡大に関しては、人口減など根本的な環境に触れながら、具体的には示さなかったが「新たな取り組みなど、努力の余地もあります」と答えた。
また、発足前から複数の幹部によって繰り返された「開かれた観光庁」について「官民交流や他省庁との交流人事を最大限に活用したい。政策や成果に関して外部の声を聞くようなチェック&バランスの仕組みも考えたい」と述べた。
(トラベルニュースat 08年10月10日号)