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川西修会長・川西孝彦社長に聞く(1) 農業と地域資源を守る/幸南食糧特集

2021年に創業50周年を迎える幸南食糧。昭和から平成、令和の時代を通じて食卓を支え続けてきたお米の価値、お米の可能性を追求してきた同社がこれまでどのような思いで事業に取り組み、これからどのような方向に進んでいこうとしているのか、川西修会長と川西孝彦社長に聞いた。

「お米の可能性は無限大」

−これまでの米業界の実情と幸南食糧としての考えを教えてください。

川西会長 私は戦後まもない1946年に生まれました。食べるものがない子ども時代を過ごし人間が生きることは食べることだと気づき、社会に出てからは食の道に進むことになりました。

お米屋さんの問屋に就職したのが食の世界に入ったスタートになるわけですが、当時、日本の国民の食卓の中心にはごはん、お米がありました。お米、ごはんは国民の食を支え続けてきましたが地球温暖化で今、日本のお米は大きな曲がり角にきています。農業は、お米はもとより、高温に適した作物を急ピッチで生産しなくてはならない時代を迎えているのです。

川西修会長

川西修会長

川西社長 私が幸南食糧に入社したのは26歳の時で、それまでお米のことは何も知らず、営業畑で仕事をしてきました。

2011年、東日本大震災の年に30歳で社長に就任したのですが、多くの人に「お米の業界は斜陽産業である」と言われ、ものすごく違和感を覚えました。そこで自分なりに調べてみると、お米の業界のピークは1962年、昭和37年の日本人の一人当たりの米消費量は118キログラムでしたが、2018年には54キログラムにまで減ってしまっています。お米の消費量は激減しているといえ、私たちの事業展開から、できることはまだまだあると思ったんです。

生産地で栽培されたお米をスーパーマーケットや外食産業のお客様に販売することだけをやっている会社はたくさんありましたが、生産地やスーパーマーケットからどのようにすれば、消費者にお米を食べてもらえるのかを考える会社はありませんでした。

私や社員は会長から「ライバルは競合他社ではない、時代の変化だ。変化を真っ先に掴み、先回りして挑戦を」ということを常日頃より教えられてきましたから、減少しているお米の消費量に関して、幸南食糧として何ができるかを考えました。社長に就任してすぐ2つの営業方針を掲げました。エリアマーケットの拡大とお米の新しい需要を創るということです。それまで大阪・松原市の本社を拠点に関西マーケットを主とした営業を展開していましたが、東京、福岡にも拠点を設けエリアマーケットを広げることで全国流通を可能にしました。

新しい需要を創ることは、精米してスーパーの売り場にお米を置くという卸の会社から、どうすれば消費者にお米を食べていただけるかを考える会社になるかということです。その環境づくりのために米匠庵という会社をつくり、ギフト市場に参入しました。

17年からはレトルト商品の製法を取り入れ、レトルト米販加工品をつくりながら、お米の味わい方を消費者に提案、提供しています。私たちはお米の可能性は無限大にあると思っていて、幸南食糧はその可能性をどう引き出し、どのようにして伝えていくのか、それが私たちに与えられた使命だと捉えています。

(次の記事)川西修会長・川西孝彦社長に聞く(2) お米を食べる価値創出/幸南食糧特集
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