川西修会長・川西孝彦社長に聞く(3) 時代の変化へ世代交代/幸南食糧特集
農業守り次の日本を作る
−企業の世代交代についてお聞きします。
川西会長 昭和、平成の時代はどの業界も成長期で、船に例えると大型船に乗って航海してきました。少々の風が吹こうが白波が立とうが船はビクともしません。しかし安全性、安心感がある中では時代環境の変化に気づきにくいものです。
大きな変化を迎えている私たちはクルーザーに乗り替え、刻々と変わる波や風を見定め、また危機感を抱きながら航海という経営をしなくてはなりません。大きな船に乗ったままでいるのか、小さなクルーザーに乗り替えた経営をするのか、どちらを選ぶのか自問自答してほしいと思います。
当社もバトンタッチができていなかったら、変化に対応できていたかどうかわかりません。「俺の創業した時はこうだった」「寝ないで仕事をした」というようなことを言っても通じる時代ではありません。
川西社長 食品業界だけでなく、付き合いがある異業種の2代目や3代目に聞く話は先代から「おまえの考えは甘い」「自分の時代はこうだった」と自身の考えを否定されることです。確かに甘さもあるかもしれませんが、自分で考え、行動している中で全否定はつらい。当社の場合、会長に提案したことは、ほぼ「やれ」という返答です。そのままにしておくと「俺がやるぞ」と言われてしまいます。常に後ろから背中を押してもらっていて、本当にありがたいと思っています。
−これからの抱負を教えてください。
川西社長 一般的にお米は当たり前に食べられている風潮がありますが、お米の消費量は激減しています。その中で、どうすれば消費者がお米を食べたくなるのか、価値変換をしなくてはなりません。その一点に私たちの企画力、発想力、行動力が問われると思っています。現在の事業を安定させながら、お米を使った新事業にチャレンジし、これからも幸南食糧の価値と存在意義を見出していきたいですね。
川西会長 食に関して非常な危機感を持っています。最も訴えたいのは日本の食料自給率は30%で、残りの70%は輸入に頼っているということです。他国と比べると驚くほど低い自給率であり、食べ残しなど食料の廃棄率にも驚くべきものがあります。
コロナ禍で世界は壊滅的な被害を受け、自国は自国で守るというケースも出ています。すでに食料の輸出はしないという国も一部にあります。日本の農業を守る、水田、田畑を守る、これがコロナを乗り越えたあとの次の日本を作る大事なことであることを訴えておきたい。第一産業である農業を守ることは、地域資源を大事にするということです。強いて言えば、地球温暖化を防ぐ一つにもなるという自負を持って取り組んでいきたいと思っています。
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